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AAC2016 一次審査結果発表

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7月20日に一次審査が行われ、最終審査に進む3点と、入選作品点が決定いたしました。

応募総数:62点
入賞:        3点一次審査通過
入選:        9点

最終審査は10月18日(火)に予定しております。

入賞

3点応募順

「GEMME」

古川 千夏

広島市立大学大学院 芸術学研究科(博士前期課程)
造形芸術専攻 造形計画研究 金属造形研究室

素材:七宝、銅、銀線、銀箔、ステンレス

入賞者コメント

この度は入賞作品に選んでいただき、誠にありがとうございます。
以前から作ってみたいと思っていた作品だったので、実制作の機会をいただき、本当に嬉しいです。
これから理想の作品ができるよう、制作に励んでいきます。

「Corona」

中尾 俊祐

国立大学法人 和歌山大学
システム工学部 デザイン情報学科4年

素材:ステンレス

入賞者コメント

入賞作品に選出していただき、ありがとうございます。
実際に自分のデザインしたものが作られる経験をさせていただける貴重な場なので、これを糧に学生としての能力をひとつ上に押し上げられるよう取り組みたいと思います。
安全で且つ壊れにくいオブジェを作るという難しさと、提案作品が持つシャープさと曲線の審美性をどのように実現するかという難しさをクリアしていけるように頑張りたいと思います。

「朝の輝き」

堀田 光彦

東京藝術大学大学院
美術研究科工芸専攻 鋳金研究分野

素材:ブロンズ

入賞者コメント

この度は入賞及び実制作の機会を頂き誠にありがとうございます。
エントランスというパブリックな空間と、マンションを行き来する方々を心に留めながら制作します。
作品からふと何かを感じて頂き、日々の生活がより豊かになって頂けるよう励みたいと思います。

入選

9点応募順

「code:」

平田 万葉

京都市立芸術大学大学院
陶器専攻

審査員コメント

「もしこの作品が自分の住むマンションの一角にあったら」。
そう想像すると、日々この前を通るのが楽しくなるような気がします。
2次元の世界の記号的形態が、日常空間の中に唐突に現れることで生まれる異質さによって、「これは一体何だろう?」と人の足を止めさせ、しばし想像力を働かせる時間をもたらす可能性を持っています。

懸念点である物理的な強度や存在感、また作品自体のコンセプトをより強化することができ、かつこうしたユーモアと柔らかさを内包する作品が実現できれば、ぜひまた観てみたいと思いました。
(望月 かおる)

「夏の月」

李 小江

東京藝術大学大学院
美術研究科 彫刻専攻

審査員コメント

有機的でユニークな形態、素材の石と金箔で表現される月が印象的な作品です。
作品コンセプトによると、夜になると一人で月を眺めるのが習慣で、月の満ち欠けのことを考えるという作者が、月その物を物体として表さず、周囲のかたちが作りだす空間、物質と空間との想定的な関係の中に月の存在を見せようとした作品で、興味深いです。

この作品が置かれる場、広いマンションのエントランスという空間に設置されたときのイメージもあると、より説得力があったように思います。作品を構想するときに、その作品が設置される場、空間全体のことを意識して考えるということも大切ですね。

過去の作品を見ると、制作の技術も高く、力のある作家だと思います。今後も、石の表現の可能性に挑んでください。
(内田 真由美)

「moment」

洞山 舞

多摩美術大学
美術学部 彫刻専攻4年

審査員コメント

縦に伸びた円環であり、造形的にはシンプルで美しい形態をもった作品であるが、抽象彫刻では比較的多くこれまでも作られてきた形態であるので、第一印象で少し損をしているかもしれない。
一目見た時の作品の印象は大事なだけに、もう少し工夫をしてもいいかもしれない。
ただ、部分を見ると短い鉄片が丁寧に規則正しく結び付けられており、面白いかたちで連結されている。
添付してあったこれまでの作品も基本的な形態の繰り返しと増殖により、新たな形態を生み出すという方法で制作しており、このあたりの造形感覚には、優れた現代性を感じる。
ディテールの増殖というアイデアがもう少しストレートに出ていても良かったかもしれない。
(秋元 雄史)

「構造の表象」

後藤 宙

東京藝術大学大学院
美術研究科 先端芸術表現専攻

審査員コメント

2014年、2015年に続き、三年目の2016年も入選している。
3年連続という実績から理解できる通り、力をもった作家である。提出されたプランに掲載のこれまでの作品を見ても、丁寧で繊細な造形がなされている。
独特の緊張感漂う形態は、例えば遺伝子配列や二重らせんなどの配列構造を想起させる、生物的な気配をもつもので、単なる幾何学的な抽象形態ではない。
それが果たしてどのようなものを基にしているのか、あるいは、まったくの独創なのか、興味をそそられる。
今回の提案では、高さが2m近い作品プランを出した。審査員からは、プランの形態からは仕上がりが想像しがたい、あるいは、パブリックな場所に置く形態としては生理的な形態過ぎるのではないかという意見が聞かれた点が惜しい。
(秋元 雄史)

「Moon River」

金 俊来

京都市立芸術大学大学院
工芸学部 漆専攻

審査員コメント

シンプルで美しいフォルムが目を引きます。素材が漆であり、説明によると、乾漆技法と変わり塗りを利用した制作で、その独特の色調や深みのある色味、作品が醸し出す空気感や表情も楽しみな作品です。
家という休息の空間を月というテーマで表現し、「ムーン・リバー」の曲からもアイデアを得て、三日月の中側に川が静かに流れている様子を表現したという発想もおもしろいと思いました。
過去の作品からも、確かな技術で、作品を制作し続けている姿が浮かびます。
作者は、前回「AAC2015」の優秀賞を受賞されています。受賞を励みに、前回に続けてのチャンレンジの意欲も嬉しいですね。漆を用いての新たな表現、今後の作品制作も期待しています。
(内田 真由美)

「Lamination」

亀永 百恵

富山市立富山ガラス造形研究所
造形科 2年

審査員コメント

光によって様々に表情を変えるガラスを使い、それを重層的な立体作品に仕上げるというプランは力作になる予感がします。
外側は一色だけれど、上から覗くと色の違うガラスの層が渦巻き状になった断面が見えるというのも、万華鏡を見るような、あるいは焼き物の器を楽しむような歓びがあるように思います。

ただ今回の設置場所だと、「上から覗いたときの景色」という本品の見せ場を生かしにくいのではと思いました。
普段はこのエントランスを足早に通り過ぎるであろう住民たちの行動や心理を想像し、見せ方にもう少し工夫する余地があるかと思いました。
(望月 かおる)

「sonya」

李 旭

武蔵野美術大学大学院
造形研究科 修士課程 美術専攻 彫刻コース1年

審査員コメント

2015年の昨年も入選している力のある作家である。プランから連想される作品の形態やスケール感が場所にあっていて、ちょうどいい。
白を貴重にしたエントランス空間に温かみを与え、いい対比効果を生み出している。
赤茶色の円錐形の頂上にブルーグレーの球体が乗っている。造形処理はシンプルだが、フリーハンドで描いたような伸びやかさがあり、なにか物語のある場面を想像させる、ちょっと懐かしい雰囲気をもった作品である。
プランに添付されていたこれまでの作品も完成度が高く、今後を期待したい。
(秋元 雄史)

「Easy Art」

三隅 幸

筑波大学
芸術専門学群 構成専攻3年

審査員コメント

住まいのエントランスという、日常にもっとも近い場所で出会う美術作品に、生活に美を感じることを促すというコンセプトを設定したのは共感がもてます。
しかも本物のタオルを用いて、そのテクスチャーを生かすと言う作品は、地味ながらも見るたび新たな発見をもたらすかもしれません。

ただタオル地の表面と陶土から生まれる美が、どれくらいの永続性や力強さをもって見る人に届くのか、やや疑問が残りました。素材の再考や、鑑賞者=生活者の目線に立ったアプローチなど、さらなるプランの検討が必要かと思いました。
(望月 かおる)

「暮らしのうつわ」

グループ名:Misumi/Iwane

岩根 美樹
筑波大学 芸術専門学群 構成専攻3年

三隅 幸
筑波大学 芸術専門学群 構成専攻3年

審査員コメント

マンションのエントランスという場の特性を考え、日々の暮らしの“うつわ”を、たくさんの人々やその家族、それぞれの物語が日々行き交う場所で、住人の生活に寄り添い、共に歴史を刻むものとして存在できればという作品のコンセプトに心惹かれました。

白土に白化粧による焼成で、作品のイメージ画の曲線も美しく、エントランスに設置したときの空間との調和もよいだろうと想像しましたが、実際に作品をイメージのように仕上げられるだろうかという意見も出ました。完成イメージがシンプルで検討中という部分もあり、作品の実現性、制作後の様子が伝わり辛いという面もありました。さまざまな経験を重ねて、陶土による制作、うつわの表現を深めていただきたいと思います。