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AAC2017 一次審査結果発表

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7月3日に一次審査が行われ、最終審査に進む3点と、入選作品8点が決定いたしました。

応募総数:117点
入賞:        3点一次審査通過
入選:        8点

最終審査は10月23日(月)に予定しております。

入賞

3点応募順

「Waterfall」

金 俊来

京都市立芸術大学 大学院 漆工専攻

素材:漆、螺鈿

入賞者コメント

この度、賞を頂き、誠にありがとうございました。
今回の入賞で、今まで頭の中にあったイメージを実制作できる機会を得て、とても嬉しいです。
マンションのエントランスで、皆が楽しめる作品を完成できるように頑張ります。

「Heterogen」

後藤 宙

東京藝術大学 大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻

素材:鉄、ワイヤー

入賞者コメント

この賞に挑戦すること4年、やっと入賞することができました。
過去入選者として悔しい思いをしてきた分、今回の作品にかける想いは
人一倍強いものがあります。このチャンスに感謝し、全身全霊で制作に取り組みます。

「Starting from white」

土井 彩香

東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻

素材:大理石

入賞者コメント

この度は実制作の機会を与えて頂きましてありがとうございます。学生(研究生)として
ラストチャンスなので思いきってチャレンジした結果、選出されとても嬉しいです。
今回制作する作品が永きに渡って住居者の方々に寄り添い、親しんでいただけるよう取り組んで参ります。

入選

8点応募順

「New flower」

高 瑞雪

広島市立大学 大学院 芸術学研究科 造形芸術専攻

審査員コメント

彼女の作品は、アーティストがいう「気配を彫刻する」というようにカタチで示された限定されたものだけが魅力ではなく、その表面の素材の反射や透明感が周りを巻き込んで魅力あるものにしていこうというのが、とてもユニークです。そして、花という生活に彩りをあたえてくれるモチーフも、マンションのエントランスにふさわしく、日々の生活とつながっていくように思えます。
でも、手法的な実験ということもありますが、どこまで安定したフラジャイルではなく、かつ透明感のあるものを作れるのか、というのが疑問となるところでした。その部分をクリアして、独自の彫刻世界を作っていくことに注目したいです。 (小山 登美夫)

「SYNC」

西 毅徳

東京藝術大学 大学院 美術研究科 デザイン専攻

審査員コメント

エントランスでの人の動きを曲線的なものとして捉え、作品の形態や光の反射をその動きと同調させるというコンセプト自体は面白いし、また、表現としての可能性を感じさせると思った。作品サイズはそのコンセプトをより有効に反映させた結果なのだろうが、アクリルという素材の特性も考え合わせると、やや過剰な感が否めなかった。コンセプトや発想には可能性を感じるので、不特定多数の人が出入りするエントランスという空間の特性、日常的なメンテナンスや耐久性なども考慮し、アクリル以外の素材を使用することも視野に入れて、表現の幅や可能性を追求してほしいと思う。 (堀 元彰)

「Re:Spiral」

野下 啓太

日本大学 大学院 理工学研究科 建築学専攻

審査員コメント

そこに暮らす人たちをエントランスで見送り、迎えるオブジェとして、気持ちを高めるように上昇するエネルギーがコンセプトになっている。設置イメージからはどこか神々しさを感じさせる一種の気品のようなものすら漂う。そうした印象はおそらく、いくぶん小ぶりにみえてしまう作品サイズと裏腹な関係といえるものだろう。見方によってはどことなく寂しく感じられるのも確かで、作品サイズにはややもの足りなさを感じた。コンセプトや素材との兼ね合いもあろうが、サイズをもうひと回り大きくするか、または、ある程度の高さの台座の上に設置する方がより効果的だったかも知れない。 (堀 元彰)

「Individual」

小林 絵里佳

東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻

審査員コメント

ステンレスのエルボーパイプを積み重ねることにより、反復性と集合体としての意味性をひとつのユニットとして表現している。そのパーツの内部には赤青黄色といった原色系の色彩がほどこされている。それは、マンションや集合住宅という、個々の部屋の集合体としての機能や性格と連動しているのである。
しかし、その固定化された概念が、両者にとっての課題であり、この場合は、全体とその部位の整合性のとれた関係が重要なのである。 (三沢 厚彦)

「花好月圓」

雷 康寧

東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻

審査員コメント

兎とバイオレットマグノリア、それが円環を形作る造形は、とても魅力的です。そこに月の光が降り注ぐ光景。 情景としての彫刻を作り出す方法は、とても野心的であります。とても細かいディテールが重要な要素となり、そのため技法としては割と形をつくる自由度の高い磁器がえらばれました。その部分がちょっと懸念されます。
公共の場所での展示においては、そぐわない。やはり、安定感、強度というものを考えないとなと思いました。でも、この作品が何らかの機会に完成したら、ぜひ、見てみたいと思う力作になると思います。(小山 登美夫)

「可変立方態」

小見 拓

東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻

審査員コメント

立方体の形状や展開態を基準とし、内部構造と外郭を持つ図形的モジュールとでもいえようか。この作品は可変することを想定した、複雑なメカニズムを備えている。小見にとって、科学やテクノロジーは作品化するために不可欠なものなのであろう。それは現代に生きる人々の環境であり、外郭であるともいえるのかもしれない。そうなると軸構造を持つ内部空間は何を意味するのであろうか。 (三沢 厚彦)

「I FIORI」

髙畑 雅一

大阪市立大学 大学院 生活科学部研究科 居住学科

審査員コメント

ステンレス製の逆四角錐をベースにした造形は、花入れからの着想で、周囲や床の石材とのバランスや調和も見事で、「ロビーを華やかに演出する現代的な構成」としては申し分ない。全体的なスケール感やLEDによる光の効果も的確で美しく、洗練されたデザイン感覚にあふれている。
逆に、そのあまりに洗練され過ぎた感じが、かえって“作品”としての存在感を希薄にしてしまっているのが惜しまれる。
造形的なセンスには優れたものがあるので、そこに何かしら作者自身の強いこだわりや思い入れを感じさせる要素がうまく加味されれば、より一層すばらしい成果が期待できるだろう。(堀 元彰)

「遠い部屋」

野村 絵梨

東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻

審査員コメント

木彫で完成された「佇む」をみると、その不思議な空間に吸い込まれます。球体の中に空間を作り出す方法は、とてもユニークだと思います。今回のプロポーザルで疑問なのは、この部屋が、見る人にとって象徴的な空間になり得るのかということでした。そして、この球体という自分が発明した手法から離れて見ることも一つの方法ではないのか?身体感覚と触覚、視覚を全て使って、入りこむような空間を見てみたいです。
でも、この作品が大理石でできたら、ぜひとも触ってみたいなと思います。空間に手を入れる感じ、それもまた面白いのかもしれません。 (小山 登美夫)