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「AAC2024」は、10月4日に最終審査が行われ、最終優秀賞1点、優秀賞2点が決まりました。
東京藝術大学大学院 美術研究科 工芸専攻 研究生
素材 : 漆
大阪芸術大学大学院 芸術制作 工芸領域ガラス工芸専攻
素材:ガラス、セメント、弁柄、鉄粉
三原さんの作品については、マンションが建つ場所に関する徹底的な調査が印象的でした。 私自身、東京生まれ東京育ちですが、知らなかったことを教えていただきました。中居さんと同様、住民と共に時間をかけて育っていくような感覚が、作品にうまく込められており、非常に歓迎される作品だと思います。また、照明によって一層引き立つ作品であることが、プレゼンテーションでよく伝わりました。今後の彼の作品にも、大いに期待し、注目していきたいと思います。(鈴木芳雄) 三原さんの作品もガラスを使ったものでしたが、遠藤さんとは対照的に、ガラスを専門的に扱った素晴らしい作品でした。戸越銀座の歴史をコンセプトにした作品でしたが、少しエイジングが気になりました。フィニッシュはとても難しく、素材に対するコーティングや着色など、様々な要素が関わってきます。特にガラスは固着が難しく、有機溶剤を使用しなければならない場合が多いのですが、その有機溶剤がべんがら(酸化鉄)の発色を鈍らせてしまったのかもしれません。(三沢 厚彦)
三原さんの作品は、ガラスという恒久的な素材を用いて、戸越という場所の歴史をどのように表現し、マンションの住民とどのように共有していくかをテーマにしていました。テーマとしては、この土地に最もフォーカスした作品だと感じました。ただ、なぜこの素材なのか、なぜこの形なのかという点で恣意的な選択をしなくちゃいけない、ある意味ではフィクションというか嘘を入れなきゃいけないというところがあって、審査員の中での議論があった部分ですが、エイジングは少しトゥーマッチだったかなと惜しさを感じました。(藪前 知子)
富山ガラス造形研究所 研究科 2年
素材 :ガラス
遠藤さんの作品は、壁を支持体とする性格上、仮の壁で見なければならない不利さはありました。実際に壁に設置してみながら、高さを調整したり、画面からはみ出すような演出をするなど、さらに手を加えることで一際引き立つものになるでしょう。(鈴木 芳雄) 遠藤さんの作品は、工業製品ではあまり見られないクラックやガラス素材をそのまま見せる大胆なアプローチが特徴でした。2パターンのガラスの扱いがあり、その見え方も非常に素晴らしく、長い時間をかけて共有することで、さらに多くの発見があるように感じました。ただ、エポキシの使い方には少し工夫が必要かなと思いました。異素材との接合がポイントになるので、ガラスを接合する際には大胆に金物を使っても良いかもしれません。接合部分をあえて見せることで、ガラスの透過性が強調され、良い効果が得られるかもしれないと感じました。今後も素材に対するアプローチが楽しみです。(三沢 厚彦) 遠藤さんの作品は逆に工業ガラスがクラックしていく、脆さ、時間とともに朽ちていくものを技術として、ガラスに取り込んだということで素材に対してある種の抵抗を生み出すということがすごく先進的で、芸術作品としてもすごく面白いコンセプトだと思いました。恣意的な選択で言うと、なぜこの形なのかというところでもう一工夫があるとよかったのかなと思います。最初のプランだと全体の形自体がその崩壊していくような形だったのですが、最終的な形にもある種のフィクションとしての説得力がもう少しあったらより優れた作品になったかなと思いました。(藪前 知子)