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AAC2018 最終審査結果発表

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「AAC2018」は、10月23日に最終審査が行われ、最終優秀賞1点、優秀賞2点が決まりました。

最優秀賞

最優秀賞

「Be water my friend」
雷 康寧(らい こうれい)

東京藝術大学 大学院 美術研究科
彫刻専攻

材料:陶器

受賞者のコメント
 この度は素晴らしい賞を頂きありがとうございました。昨年は入選で実制作をする事ができませんでしたので、今回制作させて頂けた事にとても感謝しています。素晴らしい経験になりました。
今回の作品がマンションのエントランスに設置されて、私の作品が毎日人々に届く場所に展示されていって、多くの人の生活に統合するのはすばらしいことだと思います。自分の制作が評価してもらえたことも本当に嬉しく、自信に繋がりました。これを励みにこれからも制作を続けていきたいと思います。ありがとうございました。
審査委員講評
 最優秀賞の雷さんの作品の本物の迫力とやわらかさ、あたたかさ、そしてかわいらしさを皆さまにも是非その目で見て頂けたらと思います。ちょっと見る角度では不思議な、不気味な感じがしなくもないのですが、本物を見ますと陶器なのにとてもふわっとしている感じがあり、そしてちょうど建物のさざ波のような大理石の壁が、まるでこのタコを包んでいるようなとてもしっくりした効果をもたらしていると思います。
 今回設置されたマンションは入口の方から続く壁面に波のような曲線を使っていて、それが作品の方へ向かって集約するような線の効果を持っておりまして、外から見た時にとても引き立つ素晴らしい作品だと思います。ほかの2人の方も本当に素晴らしい技術、完成度、そして大変面白いコンセプトでいずれも劣らぬ作品でした。
 どうか雷さん、今後とものびのびと大きく羽ばたいて頂けたら私共もうれしく思いますし、
来年もまた、機会のある方はどうぞ挑戦してこの賞に相応しい作品をお創りくださるようにお願いいたします。(馬渕明子)

「Be water my friend(水のように生きろ)」ブルースリーの言葉をイメージしたと伺いました。ですので雷さんも海洋生物をモチーフに作り続けているのですね。
手びねりの上積みという陶器の技法で下から順に積み上げていってつくったということです。非常に造形力もあり建物の白い壁に沈み込むような淡い色彩でバランスよくインスタレーション、周りの空間も含めてち密な計算でもって作られていると思いました。
目のところは樹脂や金箔で光沢を見せていてしっとりとした色気を感じ、淡い青の着彩・染料で染め上げています。タコというモチーフはともすれば拒否感・気持ち悪いものになりそうなところを素焼きに淡い着彩で生々しさ抑えている、それが非常に好感を持てて選ばせて頂きました。
堀田さん住民に寄り添うテーマで、佐野さん伝統を漆を伝えたいというテーマで緻密な作品をつくってもらいましたが
雷さんは2人よりも自分の独特な個性的な表現を前に押し出しています。パブリックな場所に作品を置くというのは非常に難しいところがあって自分の表現したい事と、美術館の中とは違って多くの人に受け入れられなければならない公共空間ではバランス感覚を絶妙に持っていないと成立しない。そのギリギリのラインを雷さんは攻めていたのが僕個人的には評価できると思いました。(ヤノベケンジ)

最終設置

最終設置






 

優秀賞

優秀賞

優秀賞

「現の秤」
佐野 圭亮(さの けいすけ)

東京藝術大学 大学院 美術研究科 工芸専攻

材料:漆

受賞者のコメント
この度は優秀賞をいただけまして誠に感謝しております。将来的に居住する人々がどのような人か、また、その生活の中に置かれることはどのような価値があるかを想像して、制作の対岸に具体的な「人」を意識しながらのものづくりは私にとって大変貴重な機会となりました。これからも自身の作品を通して多くの方々に漆芸の魅力と驚きを理解していただけたらと思います。
審査委員講評

 漆の佐野さんの作品は非常に緻密で卓越した技術で様々な技法を使いながら宝箱のようで見るものを圧倒するような見ていて飽きないものでした。しかしやはり雷さんの作品の空間にマッチした作りかたと比べるともう一歩踏み出すことが出来ればよかったのかなと思います。(ヤノベケンジ)

 佐野さんは伝統工芸である漆を用いて、皆さんにもっと親近感を持ってもらいたい、
身近に感じてもらいたいという思いから作品を制作されました。作品のどの部分をとっても、高い技術で作られていて、美しく仕上げられています。また、フォルム全体が有機的な側面も含めて、チャレンジ精神に富んだ作品で、最優秀賞に選ばれてもおかしくない作品です。
 佐野さんは、今日の漆のあとが残る両手を見ても、その制作の苦労が垣間見られて、
この4カ月間、一生懸命作られたのだなと感じました。伝統工芸の技法や漆を使って、今のアートの世界、現在の美術状況のなかで、作家性を保って作品を作っていくということは大変だろうと思います。
今後もますます、頑張っていただきたいと思います。(内田真由美)

 

優秀賞

優秀賞

「精神の美」
堀田 光彦(ほった みつひこ)

東京藝術大学 大学院 美術研究科 工芸専攻

材料:ブロンズ

受賞者のコメント
この度はこのような賞を頂き大変光栄に思っております。短い学生生活の中で1度の入選と2度の入賞を経験させて頂けた事、AACの関係者の皆様や、応援して下さった方々には感謝の気持ちでいっぱいです。このコンペティションを通して公共空間に作品を設置する事の難しさや喜びを学べたように思います。今後もこの経験を糧に作品制作を続けていきたいと思います。この度は誠にありがとうございました。
審査委員講評

堀田さんのブロンズ作品は墨田区の桜をシンボルとしていて
住まわれる方の象徴的なものとしてサイトスペシフィックなテーマで実際の桜の木の枝から鋳造された一見近くで見ないと本物かと見まがうブロンズ彫刻です。
技術の上で成り立った作品構成で素晴らしいものであったのですが、やはりブロンズで全体的な色の沈み方から堀田さんの要望していた華やかなイメージを持ってもらうというところでちょっと一歩欠けていたのかなということで惜しくも選に漏れたのですが
色を変えたり表現の仕方によっては非常に映える作品だったと思います。(ヤノベケンジ)

堀田さんは二回目の優秀賞を受賞され、何度もチャレンジをされていることも素晴らしいと思います。
墨田区の花である桜をモチーフにしたブロンズ作品で、マンションに皆さんが帰ってきたときに、日々皆さんが目にしたときに、癒しや落ち着ける空間をということで作られた作品です。
このブロンズ作品も、私も学生時代に経験があるのでわかるのですが、プランから鋳造まで、鋳造から仕上げまで、ひとつひとつの大変な作業を積み重ねて完成させています。審査のときにも申し上げましたけど、もう少し自分の個性を加味するような、今の若い自分ができるような新たな試みに挑まれると、ブロンズを素材として新しい作品が生み出されてくると思います。(内田真由美)


最終審査当日の様子

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