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AAC2022 最終審査結果

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「AAC2022」は、10月17日に最終審査が行われ、最終優秀賞1点、優秀賞2点が決まりました。

最優秀賞

最優秀賞

「千種万花」
平尾 祐里菜(ひらお ゆりな)

広島市立大学大学院 芸術学研究科 造形計画研究 金属造形領域

素材  : 金、銀、銅、鉄、金泥

受賞者のコメント
「動中の工夫は静中に勝ること百千億倍す」
紙の上で構造を練り続けることも大切ですが、実際に手を動かし素材と向き合い続けるなかで、これまでとは異なる制作手法や新たな素材を見つけることができました。私自身今回の制作の中で得られたものがとても多く、これからの作品づくりのあらたな起点、貴重な経験となりました。
また、今回の作品は私1人ではなく後輩たちの力を借りて制作しました。私が先輩から学んだように、今ここで技を受け継ぐことができたと実感しております。
最後になりましたが、AACは学部生の頃から憧れのコンペティションで、学生最後の年で実制作まででき、そして、最優秀賞に選んでいただけたこと身に余る光栄に存じます。誠にありがとうございました。
審査員講評
平尾さんの素材は銅と鉄という紹介がありましたが、それ以外にも沢山素材が使われていて、その中にはなんと金も含まれております。制作の支援金20万円で彼女自身この機会に今まで出来なかったことをしたいと思ったそうですが、ただ、金が高級だからということではなくて、金の持っている独特の輝きというものを作品の方に生かしたいということだったそうです。そういう素材も選びつつ、何より大事なことは、今回建てられたマンションは東京23区の一つである江東区にありますが、平尾さんはその23区の区の花と区の木を調べ上げ、単純計算では全部で46個になるはずなんですけれども、実際には重なっているものを抜いていくと全部で十個位にまとめられることに気づいた。そこで、その十個を一つのオブジェの中にまとめ上げて、しかもそれが、いろんな角度から見てもそれぞれにおいて非常にまとまりのあるものとしつつ、ただそれは人工的に作るものなわけですから、現実にはあり得ない状況で葉がついていたり、現実にはあり得ない重力との関係を感じさせるように枝がついていたりと、人工物であるがゆえの美しさ、変化というものを非常に大事にした、そういう作品でした。

それは、ほかのふたりの作品に比べると、正直なところ、インパクトという意味では欠けるかもしれません。袁さんのピンクのガラスの塊の作品の持つ重量感や存在感、あるいは中居さんのフクロウの作品の持っているユーモラスさに比べると、平尾さんの作品には少し繊細にすぎるところがあるんですけれども、見る角度によって印象が違うとか、この作品をきっかけに十個の花と木の名前を覚えるかもしれないことで、住まわれている人が、江東区に住んでいることや、東京23区のある場所に住んでいることを誇りに思えるかもしれないといったように、生活との緩やかな結びつきとでもいうべきものを非常に感じさせてくれる作品だなというふうに感じまして、最終的に平尾さんの作品を選ばせて頂いたわけです。

 本当に審査は難航したのですが、この作品があのマンションに住まわれる方々にとってどう愛されていくかを考えると、それは多分、毎日毎日愛でるものでもないと思うんですね。毎日きちんと愛でたくなるようなものだと、ああいう場所、つまり日本のマンションのエントランスという場所だと実際には困るわけです。でも、毎日はきちんと気づいてもらえないかもしれないけれどもリサーチに基づいてきちんと美しくつくられたもの、そういうものがエントランスロビーにそっとあるという、そういう佇まいの繊細さみたいなものも含めて選ばせていただきましたので、マンションに住まわれる方はもちろん、マンションを購入された方など、いろいろな人たちに気に入っていただけたら非常にうれしいなあと審査員を代表して思っております。改めて平尾さんおめでとうございました。(保坂健二朗)

最優秀賞の平尾祐里菜さんの《千種万花》は、金属造形の研究と技術を駆使しつつ、東京や江東区の植生についてのリサーチに基づいた、新たな造形表現に挑戦して、まわりの学生も巻き込みながら見事にやりきった総合力を評価しました
。(岩渕貞哉)

今回の最終審査に残られた3名の作品について、どちらも本当に甲乙つけがたくて、審査が難儀でした。平尾さんの作品は置かれる場所について綿密にリサーチされていて、さらに制約された条件の中でできる限りのことを精一杯されたという態度が作品からも見て取れて、その点が評価できたと思います。
(大竹利絵子)

 

最終設置

最終設置


優秀賞

優秀賞

優秀賞

「サクラの柱」
袁 方洲(えん ほうしゅう)

東京藝術大学大学院 美術研究科 工芸専攻陶芸(ガラス造形)研究分野 博士二年

素材:ガラス

受賞者のコメント
私は昨年に続き、今年も優秀賞を頂き、作品を実際に制作する機会を得ました。
AACで得た2回の実制作では、制作補助金の支給や関係者の皆様のご支援もあり、
自分自身が作りたいと思っていた作品を完成させることが出来ました。
それは私にとって、何事にも代えがたい経験となりました。
今後もAACで入賞したことにより得られた貴重な経験を生かして、作品の制作に取り組んでいきたいと思っています。
 
審査員講評

袁方洲さんの《サクラの柱》は、発泡ガラスの立方体の重なりがエントランスでも威圧的ではなく大きな存在感を示していました。そして、様々な試行錯誤のうえで新しい技法に挑戦している姿にも好感を持ちました。(岩渕貞哉)

袁さんの作品については、発泡ガラスという変性のある素材を使われていて、桜の風景という日本の四季から思い浮かべることができる情景を、抽象性を持った形態で表現していて、シンプルな形状ながらもさまざまな景色を見ることができるような迫力ある作品だったと思います。ただ、このような場所に恒久的に設置されるという点において、素材の性質上の安全性の不安が残り今回はこのような審査とさせていただきました。(大竹利絵子)

優秀賞

優秀賞

「杜の黎明」
中居 瑞菜子(なかい みなこ)

東京藝術大学大学院 美術研究科 工芸専攻 漆芸領域

素材 :漆、麻布、金粉、卵殻、乾漆粉、アワビ貝、琥珀

受賞者のコメント
今回、栄誉ある賞に選んでいただきありがとうございます。
実際に制作して、たくさんの挑戦と失敗がありましたが、全て今後の制作の糧になったと思います。
公共の空間に作品を設置するという事は今まで作ってきた作品とは違い日常に入り込むこと、安全性など意識することが多く、新たな発見があり勉強になりました。
審査員の方々から貴重なアドバイスを頂けたり、同じ学生の方の作品を見て話せたことはこのコンペでしか出来ない経験だったと思います。
これからも作家として新たな価値を創造し、挑戦を続けたいです。この度は誠にありがとうございました。
 
審査員講評

中居瑞菜子さんの《杜の黎明》は、フクロウがエントランスで出迎えてくれる、住民にもれぞれが愛称をつけて呼んでくれそうな、長く愛される存在になる光景がイメージできました。また、多くの技術を駆使していて、細部の見どころも多かったです。 (岩渕貞哉)

中居さんの作品は小さい作品なのですが、研究している漆の表現が凝縮されていて、素材のいろいろな表情を見て取ることができました。ただ、フクロウというモチーフについて作家の観点からの主張ができるようになると更に面白いものになるのではないかと思います。(大竹利絵子)

最終審査当日の様子

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