最終審査同日に、表彰式・懇親会が行われました。
審査員コメント
このコンペに携わらせていただいたのは今回が初めてなのですが、一次審査の時に服部会長にこのコンペが生まれた背景などについて説明を受けまして、僕自身いくつかのコンペや審査に関わらせていただいているのですが、コンペを生み出した方が継続的に関わっている事例というのはそんなにはありませんし、なにより、そういう方が現場にまで来て審査にも関わり、しかも説明までしてくれるということはあんまりないんですね。その意味でも非常に珍しい賞、珍しいコンペだなと思いました。
しかも、コンペで選んだ作品が、マンションという、住まわれている方にとっては非常に重要な場所に恒久的に設置されるだけでなく、 コンペの一次審査を通った方三名には制作の支援金として20万円が提供され、更にその後の二次審査では賞に応じて賞金まで出るという、こんな手厚いコンペはなかなか聞いたことがなくて、それだけに審査する側としても非常に責任を感じたわけです。今僕は、毎日デザイン賞や亀倉雄策賞の審査などに関わらせていただいていたりするのですが、その時とは全然心持ちが違います。そうした賞が、事実上、クリエイターの今までの業績も含めた上で評価するのとは全く違って、このコンペでは、皆さんまだ学生ですから、僕らとしては、初めて見る作品・作家名の中から選ばなければならないし、しかも選んだものは、住まわれている方が毎日見ることになるわけです。そんな作品を選ぶというのは本当に大変だったんですけれども、最終的に今回は平尾さんを選ばせていただきました。
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僕はこの審査をするのは、2011年、2014年に続いて3回目となります。今回、AACが立体を制作する学生にとって大きな目標となる賞になっていることを実感しました。立体といっても応募作のメディアと技法のバリエーションが多彩になっているのと、マンションの住民の方への思い、コンセプトなど、具体的に設置することがしっかり考えられていて、全体的にすごくレベルが上がっていると思いました。
最終審査に進んだ3作品は、どれもマンションのエントランスに設置されるという点で、その基準はクリアされていると思います。そこからの審査だったので、議論もたくさんできて、むずかしくもあり、楽しくもありました。
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みなさん、プランでの一次審査を通ってから実作を現場に仮設置するまで二ヶ月ほどの期間でのぞむという、たいへんなプレッシャーのなかで、それぞれ新しい挑戦をされていて、その点にとても感銘を受けました。この経験は、今後のアーティスト活動においても必ず生かされることと思います。本当におめでとうございました。
受賞された皆様、この度はおめでとうございました。
私は普段東京藝術大学で准教授を務めさせていただいています。学生の皆さんは、彫刻という表現が、その後どう展開して行くのか、社会とどのように関わっていくのかという点のイメージがしづらく漠然とした将来に不安を抱いてしまうことも多いのですが、このAACのコンペは最終審査が実践的な制作によって評価されるということでその先の未来の自分のいる場所を想像することができる、とても意義のあるものだと思っております。
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私とAACのことについてお話ししますと、2006年のときにこのコンペに応募させていただきました。その時の自分の作品はまだ未熟な点が多々あり入選という結果でしたが、審査員をされていた方とのご縁からその後ギャラリーで展示する機会を得て、発表する責任について考えるきっかけへと繋げさせていただくことができました。
皆さんも、今後、自分の行きたい道をしっかりと見据えながら、その都度、進むべき方向を自分で選び、更なるご活躍をしていただけるよう、期待しています。この度はおめでとうございました。