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AAC2021 最終審査結果発表

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「AAC2021」は、10月12日に最終審査が行われ、最優秀賞1点、優秀賞2点が決まりました。

最優秀賞

最優秀賞

「Power of Flower」
隗 楠(うぇい なん)

京都市立芸術大学大学院 美術研究科 漆工領域

材料:漆、鹿革、麻布

受賞者のコメント
この度は、最優秀賞を頂き、大変光栄に思っております。誠にありがとうございました。
今回の作品は、革を用いて漆制作を展開して以来、初めて挑戦した大きなサイズのものでしたが、審査員の方々に高い評価をいただけたことは本当に嬉しく思っています。自分の努力した作品がよい結果が得られたことは、今まで継続してきた自身の制作が世に認められたのだと考えています。
今回最優秀賞を頂いたことはこれからの制作活動、そして人生の中でも重要なスタートになりました。今後の制作活動の糧にしていきたいと思います。
審査員講評
隗楠さんの作品は鹿革が孕んでいる自然な形を、漆を塗ることで固定した作品です。外側を黒色で直線的な形とし、内側を赤色で優しい有機的な形にした、中外で対比的な性格をもった、魅力的かつ大胆な、また大変な技術を要する作品です。
作品が置かれるマンションは、環七と川越街道の立体交差点の側という、かなりハードな環境にあり、作品にはそれに負けず、その環境に拮抗する力が必要だと、今日、現地で感じたのですが、この作品は、他の2作品と比べてかなり大きく、そこから外に向かって放たれ、流れ出る力を感じさせ、そんな期待に十分に応えられていました。
建物に入る前、ガラス越しに見えるところから始まって、エントランスに入って通り過ぎ、エレベータ前に至るまで、この作品は姿を大きく変え、その変化も楽しく、ここに住む人々に元気を与えてくれることでしょう。そうしたところから、この街のなかに、この建築のこの場所に置かれるべき作品として、隗さんの作品がもっともふさわしいと、審査員一同、一致した意見であり、満場一致で最優秀賞に決定いたしました。(青木淳)

私は漆の素材であのような状態になっているものを見たことがなかったので、最初に見たときに初めての感覚を抱きました。最初の直感や思いつきというものが、最後の形になるまで落とし込まれていて、その作品も広がりがあり、その直感の部分をどんどん広げていって大きな可能性というものに繋がっていくようなダイナミックな感覚を感じました。
すごく圧倒的なクオリティを持っている作品でした。(荒神明香)

この作品は古くなればなるほどまた味わいが出るような気がしました。
また、画像でみるよりも実物の方が良いという、直接見ることの大切さを伝えてくれるような作品でした。全体のフォルムについても思い切りというか、潔さというものを感じることができました。ぜひ直接見る機会があれば見て欲しい作品です。(南川憲二)

作品の上部に大きな広がりがあって、マンションに帰ってきた人たちが元気になるような作品に仕上がっていました。空間に対する力というのが作品として面白いなと思いました。(小山登美夫)
 

最終設置

最終設置



優秀賞

優秀賞

優秀賞

「さんすいの間」
袁 方洲(えん ほうしゅう)

東京藝術大学大学院 美術研究科 工芸専攻

材料:ガラス

受賞者のコメント
今回は初めてマンションのエントランスホールという特別な空間のために作品を制作しました。制作の途中にはさまざまな困難がありましたが、それを乗り越えて、作品を完成させることができました。完成した作品は自身の作風を活かしつつ、表現したいものになったと思っています。
今後も、自身のガラス作品が公共空間で展示される機会をもっと増やすことができるよう、今回得た経験を生かして制作活動を頑張っていきたいと思っています。
 
審査員講評

袁さんは黒いガラスと透明なガラスを組み合わせた山のような立体を提案して作られています。このマンションが建つ「ときわ台」という町は田園調布のような放射状に作られていますし、その放射状のパターンは、エントランスホールの床や天井に使われています。袁さんの作品は、その求心的なパターンの中心に、いわば凝縮点として置かれることを意識したもので、実際に置かれた姿を拝見して、すぐれた選択と感じました。(青木淳)

原始的な安らぎとか、安心というものをさんすいの間から見出すということが、テーマとしてとても面白く、また、近代都市の真ん中に、さんすいがあるというのも、とても独創的でした。
このテーマを有機的な形に落とし込んだことは、とても良かったのですが、何か制約があったにせよ、もう少し思い切ったところが見たかったと思います。(荒神明香)

ガラスの素材の有機性と無機性の拮抗というものを作品自身から引き出しているという面白さを
感じさせてくれる作品でした。(南川憲二)

ガラスという素材ですが、彼の技法はガラスの技法としてもあまり見たことがなく、独自の技法を使って、設置場所に凄く静かなさんすいの景色を創りました。マンションに帰ってきた人たちが安らぎを覚えるような作品ではないかと思いました。(小山登美夫)

優秀賞

優秀賞

「蜃気回層」
山口 聡士(やまぐち さとし)

東京工業大学大学院 環境・社会理工学院 建築学系建築学コース

材料:アクリル、アルミ丸棒

受賞者のコメント
この度は、栄誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。イメージを形に変えることの難しさを改めて痛感しました。同年代で創作活動をしている方々と話せたことも大変刺激になりました。
本当にとても貴重な体験をさせて頂き、感謝申し上げます。
 
審査員講評

山口さんの作品も放射状のパターン中心に置かれる凝縮点としての作品と見受けられますが、袁さんの作品とはうって変わって、全く重量を感じさせない作品でした。アクリルをカットして組み合わせることで、光を反射させながら、見る方向によって変化していくというものです。物質としての存在感を与えるのではなく、現象を出現させることに賭けられた作品である点がこの作品の魅力です。(青木淳)

マンションのエントランスホールの中で、分からないもの、認識できないもの、というのをテーマにしてるのがとても興味深く、やろうとしてることはとても面白いと思いました。制作過程で、技術的に壁があったかもしれませんが、そのテーマ設定や思っていることは面白いので、今後も諦めずにそのテーマに突き進んで行って欲しいと思います。(荒神明香)

見る側の動きの変化によって、見え方が変わっていくことと、その佇まいが、面白い作品でした。(南川憲二) 

頭の良さを感じる作品でした。理知的な感じであり、基本的な図形、基本的な形の中に、永遠のようなものを感じることができる作品でした。(小山登美夫)

最終審査当日の様子

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  • 最終審査当日の様子
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