AAC2025
ポスター
佐々木 俊(グラフィックデザイナー)
猪瀬 香織(コンテスト情報サイト「登竜門」ブランドディレクター、株式会社JDN コンテスト事業部長)
服部 信治(主催会社 代表取締役会長兼CEO)
応募総数:312点
最優秀賞:1点
入選:8点
AAC2025
ポスター
最優秀賞
東京造形大学 造形学部デザイン学科
グラフィックデザイン専攻領域 1年
昨年に引き続き、楽しく審査させていただきました。熱意ある作品が多く見受けられた一方で、一つのデザインの色を変えたり文字組みを少しだけ変えた複数パターンで応募する人がいることが気になりました。色やレイアウトを「これだ!」と自己決定することもデザイナーにとって大切な仕事です。ぜひ今後は自分のデザインに自信と責任を持って勝負してほしいと思いました。
受賞した楠本さんの作品は、非常に明快で、平面ならではの空間的表現に最短距離で到達しているように思えました。シンプルだからこそ見る側の想像を膨らませてくれるグラフィックデザインです。
粘り強いブラッシュアップの末、最終的に白い円を抜き加工にすることで、より効果的なポスターになったと思います。受賞した楠本さんをはじめ入選者のみなさん、おめでとうございました。
(佐々木 俊)
AAC立体アートコンペ最終審査会を取材してきたご縁で、今年初めて告知ポスターの審査員を務めました。中学・高校生から大学院生まで多くの方が考え抜いて応募された作品と向き合う時間は、緊張感がありつつも刺激的でした。 最優秀作品は、群を抜いてシンプルでありながら力強く、ひときわ目を引きました。黒い線で表現された空間の中央に、重力を感じさせるように丸が鎮座する構図は、立体アートがマンションエントランスに設置される風景のよう。抽象的な表現を用いながらも写実的な側面を持つ点が興味深く、AACというコンペをよく研究されたと感じました。 完成したポスターを拝見し、ワクワク感が高まる加工に驚きました。このポスターを見てどんな立体作品が応募されてくるのか、とても楽しみにしています。
(猪瀬 香織)
ポスターコンペの審査後、佐々木俊氏と最優秀賞を受賞した楠本葵さんが打ち合わせを行い、シンプルな画面だからこそ重要となる色の選定を検証しました。さらに、モチーフの配置やフォントの選び方・あしらいに注意を払いながら、ブラッシュアップを重ねて完成させたのが、下記右側の作品です。 特色の青、白い円、黒の文字のバランスについては、実際の紙とインクで印刷し、その見え方を確認しました。 最終的な印刷では、円の部分を型抜きすることで、掲示場所によって異なる表情を見せるデザインとなり、AACのコンペの特徴も体現したインパクトのあるポスターに仕上がりました。
女子美術大学 芸術学部 デザイン・工芸学科
ヴィジュアルデザイン専攻 3年
青みがかった白のやわらかい世界に浮かび上がる3種の幾何図形。パワフルなアプローチが多い中で、やさしく清潔なトーンに魅かれました。写真なのか、イラストレーションなのか曖昧なところも魅力的です。 ここからさらに緊張感がある画面の追求ができると思うので、より美しい圧倒的なポスターを目指してみてください。
(佐々木)
東北芸術工科大学 デザイン工学部
グラフィックデザイン学科 2年
「立体」という文字を大胆に配置した、かなり力強いポスターです。二つの漢字にそれぞれ人口と自然という対比を取り入れたのも見事ですし、大きい形を引き立てる文字情報のまとめ方も秀逸です。モノトーンもクールで良いのですが、色を上手く取り入れても面白くなったかもしれません。
(佐々木)
前橋工科大学 工学部 建築・都市・環境工学群
建築都市プログラム 3年
身近な建造物の写真を用いたコラージュによって「AAC」の文字を立体的に組み立てています。アイデアとして突き抜けたものではありませんが、写真のセレクトと配置がうまくいっていて不思議な世界になっています。文字情報もデザインの一部として工夫する意識を持つことと、紙面全体を使ったダイナミックな見せ方をできるとよりよくなったかもしれません。
(佐々木)
多摩美術大学 美術学部
グラフィックデザイン学科 2年
街なかに掲示されたら、つい足を止めて視力検査をしてしまいそう。ユーモラスな着想が素晴らしく、それを高いレベルのグラフィック作品に仕上げてくださったところに実力の高さを感じました。AACという単語の意味を知らない人が見ても、立体アートコンペの募集告知だとハッキリ分かる工夫があると、より用途に適したポスターになるのではと思います。
(猪瀬)
京都工芸繊維大学 工芸科学部
デザイン・建築学課程 3年
シンプルに文字で「立体アート」を訴えつつも立体そのものは描かず、全体の表現もデジタルとアナログ、トラディショナルとコンテンポラリーのあわいに立つような本作。直感と違和感の両方を刺激され、『立体アートとはなにか』から問われているような気分になりました。領域を超えた新たな表現の立体作品が集まる可能性を感じたポスターです。
(猪瀬)
武蔵野美術大学
視覚伝達デザイン学科 1年
紙の折れたり曲がったりする特性をグラフィックの構成要素として取り入れたポスターです。今年の応募作の中で一番デザインの地肩があると思いました。アイデア、情報の整理、色彩設計、構成力も特にツッコミを入れるところがなく良いです。あえていうとしたら、何かもうひとつ、見る側を裏切るような仕掛けがあるとよかったかもしれないです。
(佐々木)
東京デザイン専門学校
グラフィック科 1年
「AAC立体アートコンペ」が求める作品は、無機質な都会のマンションに豊かさを与えるもの。ポスターの発想の源流に『盆栽』を選び抽象化させ、灰色の背景に描いた表現から、コンペをよく理解して制作されたのだろうということが伝わってきました。すべての要素が座りよくまとまった印象があります。大胆に壊してみる実験をしていくと、さらに良い作品になるのではと思いました。
(猪瀬)
横浜氷取沢高等学校
普通科 3年
立体アート作品を生み出す過程で、手を動かして試行錯誤するワクワク感が良く表現されています。文字の配置や使い方、表現の精度にまだまだ課題はあるものの、必要な情報は整理できており、フレッシュなパワーがあふれる作品です。 選出後に高校生の作品だと伺って、さらに応援したい気持ちになりました。これからたくさんのコンペに応募して、表現を磨いていってくださいね!
(猪瀬)
受賞者コメント
この度は栄えある賞を頂きありがとうございます。立体と平面の違いに重さがあると考え、平面的な白い丸が重さを持った立体的な球体に見えるように表現しました。ブラッシュアップでは、文字の組み方を細かくアドバイスして頂き、多くの人の目に触れるポスターだからこその指摘だと気付かされました。実際に街中に掲出するポスターは円をくり抜いた加工を施し、掲出場所の背景によってポスターのデザインが変化します。ネットでポスターが見られる世界だからこそ、現地でポスターを見ることに面白さが生まれたと思います。
この経験で得た気付きや学びを、これからの作品に昇華できるよう頑張ります。