【メッセージ】
まず、最終審査に進まれた3名の作品はどれも非常にクオリティが高く、力のあるものでした。審査は作品の優劣を決めるものではなく、どの作品も毎日見ても飽きない、新鮮な気持ちにさせてくれるという点で審査員一同の意見が一致していました。
その中で今回の審査の決め手となったのは、作品と「空間と場との相性」です。最優秀賞の劉さんの作品は、家から3本の木が生えているイメージで、作者がご自身のパートナーや猫という「家族」を重ねていると聞き、このマンションに住まう多様な家族が家を作っていくイメージと重なりました。
また、設置場所はそれほど奥行きのある空間ではありませんが、劉さんの作品はレリーフに近く、比較的奥行きが浅く作られています。それでいて漆の滑らかな立体感や、光の当たり方でキラキラと光る螺鈿(貝殻)の表情があり、絵画とは異なります。時間に応じて表情を変えるこの作品が、住民が「ほっとできるような空間」に最もふさわしいと判断しました。
鈴木さんの作品はガラスの重なりが美しく非常に魅力的でしたが、もっと自然光が降り注ぐ場所が似合うかもしれません。佐々木さんの作品はエッジが効いており、クリエイティブな刺激を受けるものでした。立体の作品は、やはりその空間や場の持つ意味と切り離して考えられないものであり、今回はその「場との相性」を重視しました。