AAC2025
最終審査同日に、表彰式・懇親会が行われました。

弘前れんが倉庫美術館 館長
劉さん講評
まず、最終審査に進まれた3名の作品はどれも非常にクオリティが高く、力のあるものでした。審査は作品の優劣を決めるものではなく、どの作品も毎日見ても飽きない、新鮮な気持ちにさせてくれるという点で審査員一同の意見が一致していました。
その中で今回の審査の決め手となったのは、作品と「空間と場との相性」です。最優秀賞の劉さんの作品は、家から3本の木が生えているイメージで、作者がご自身のパートナーや猫という「家族」を重ねていると聞き、このマンションに住まう多様な家族が家を作っていくイメージと重なりました。
また、設置場所はそれほど奥行きのある空間ではありませんが、劉さんの作品はレリーフに近く、比較的奥行きが浅く作られています。それでいて漆の滑らかな立体感や、光の当たり方でキラキラと光る螺鈿(貝殻)の表情があり、絵画とは異なります。時間に応じて表情を変えるこの作品が、住民が「ほっとできるような空間」に最もふさわしいと判断しました。
鈴木さん講評
鈴木さんの作品はガラスの重なりが美しく非常に魅力的でしたが、もっと自然光が降り注ぐ場所が似合うかもしれません。
佐々木さん講評
佐々木さんの作品はエッジが効いており、クリエイティブな刺激を受けるものでした。

彫刻家
劉さん講評
劉さんの作品は、重ねられた漆がクリムトの森の絵のように、物質的な強さを持って木を表現しており、絵画的でありながら彫刻的な素材とのやり取りが魅力的でした。
鈴木さん講評
鈴木さんの作品は、ガラスの美しさが結晶化されているようでした。
佐々木さん講評
佐々木さんの作品は、クレバーな印象で、素材に惹かれているのを感じ、今後も作り続けてほしいと思いました。

小山登美夫ギャラリー株式会社 代表取締役社長
日本現代美術商協会(CADAN) 副代表理事
劉さん講評
劉さんの作品は、彫刻と漆が繋がったような作品でした。漆の作家は技術に走りがちですが、彼の場合は漆の肌の質感をモチーフと調和させ、非常に柔らかく温かい感じの作品に仕上がっていると思いました。
鈴木さん講評
鈴木さんの作品は、板ガラスの色の美しさが際立ち、物体としてクオリティに文句のないものでした。
佐々木さん講評
佐々木さんの作品は、重い石と人工的なパイプを組み合わせ、石が浮いているという、彫刻家とは異なる立体の考え方が面白く、素材の研究も感じられました。