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AAC2019 表彰式・懇親会

コンテンツ

最終審査同日に、表彰式と懇親会が行われました。

審査員講評

藤森 照信

建築家 建築史家
東京都江戸東京博物館館長

審査員全員一致で白谷琢磨さんの「the city」に最優秀賞が決定しました。
しかし、いずれの作品も最優秀賞にしてもかまわないくらい非常にレベルの高い3点の作品で大変嬉しく思いました。

現代美術の、エントランス等に置く彫刻というと割と新しい技法のものが多いのですが、「the city」では昔ながらの乾漆の技術を使っています。白谷さんは彫刻の専門で、漆の専門ではない中、どうやって技術を学んだのか聞いたところ漆芸の先生の書いていた本を読みながら自分でやって覚えたという事でした。
乾漆という 現代美術の中で且つマンションの中に置くものとしては意外で異質なものなんですが、作品のテーマも良かったですし、材質の感じ、非常に力強い存在感、現代都市のシルエットを水面に上下反転して浮かんでいるイメージ、どれをとっても大変優れたものでした。

 

橋本 麻里

ライター エディター
公益財団法人永青文庫副館長

・番原耕一郎さん「Neighbor」
 現場でのプレゼンテーションの時に本当にこのタイトルで良いのかという 作家のほうからの疑問が提示され、なるほどと思いました。 この世界の向こう側 どこかこの世ならざる別の世界への 「入口としての扉」をモチーフにされている作品ですが もしかすると「Neighbor(隣人)」ではなく、ここではないどこか 新しい世界、 というものをタイトルにしてもよかったのかもしれません。
 それからエントランスの広い横長の空間を床の間に見立てたという話でしたが 例えば室町時代には、会所と呼ばれる広い饗応の空間に設けられた、大型の床の間に、 例えば山水画を複数掛けたりしたわけですが そういった歴史的なイメージをモチーフにしてみてもよかったのかもしれません。 山水画といえば「胸中の山水」、この世ならざる理想郷をモチーフとして 古くから中国で描かれてきた絵で、日本人にも愛されてきました。 そういったものと今回の課題となった場所、場に置かれるものを、 対照させるようなやり方もあったのかなと思いました。
 とはいえ、この作品は実は最初の書類選考の段階で とても興味深いのだけど、実際に設置されたらどうのか?よくわからないので 見てみたい、という、審査員たちからの希望が強かった作品でもあります。最優秀賞は逃しましたが、とても面白い表現を見せて頂いたと思っています。

 ・五十嵐亮太さん「半分の阿吽」
日本のデザイン・アートの世界において、平面的なものの方が表現として多く見られる、 そこに立体というものを持ち込む可能性があるのではないか、ということで 今回の作品を提案していただきました。 実際に日本の伝統として、例えば江戸時代における琳派の絵師たちのように 屏風もつくれば、陶磁器や漆器もつくる、 同じ一人の作家であっても、平面と立体を自在に往復しながら表現していた という歴史もありますので、今回の提案のテーマである「日本的」ということと、 非常に近い、良いコンセプトであったと思います。 そして作品自身の完成度も非常に高く、藤森さんが仰ったとおり、どの作品が最優秀賞になってもおかしくなかったという意味で、これも本当に惜しい作品でした。

 ・白谷琢磨さん「the city」
 白谷さんの作品はあまりに専門性が近くて、私が推しすぎてはいけないと思いながら審査していたのですが、 例えば現代美術で言えばスゥ・ドーホーの作品に、お寺のかたちを布で形成した立体が、あたかも水面を挟んで上下に展開する、そういった作品があります。本作についても、そのようなイメージを連想しながら、審査しました。彼はあくまで彫刻科の学生として技術を磨いてこられ、工芸の技術を工芸の学生として学んだわけではないとお話されていました。独学で制作されたわけですが、今回の作品に使われた、たとえば螺鈿の切片を、もっと使いこなし、自由に表現することができていたら、さらに違うイメージを作り出せたのではないかと思いました。 例えば螺鈿を「螺鈿」としてみるのではなくて「抽象的な光の表現」として見るのであれば 都市における光、例えば都市の内部を光ファイバーを介して駆け抜ける「情報」でもあり、螺鈿と乾漆という、非常に古くからの歴史ある素材を使って、現代的な状況を表現することも可能になるでしょう。もう少し技術を深めていくことで、表現も豊かになるのではないかなと考えながら見ていました。
いずれにしても三者三様の非常に優れた表現を見せて頂き私自身も勉強になりましたし、 これからの皆さんの活躍と展開を楽しみにしております。
 
 

 

小山 登美夫

小山登美夫ギャラリー株式会社 代表取締役社長

 僕は何回かAACの審査員をしてきましたが今までの場所ですとどちらかというと正方形の奥まったところで作品を置く、というかたちで割と求心性があって、みなさんが学校で作られているものと繋がっていく作品を制作すれば大丈夫であったと思いますが今回は横に長くて、奥行きがない、という特殊な場所だったので一次審査の時に応募作品を見た段階でも皆さん相当苦労されているなと思いました。
長い平面性をもったものや、装飾性、広がりのあるもの、自分たちが普段やっているテーマとは全然違うものが相当多かったと思いましたがそんな中で色々な事をチャレンジしてきて下さっている姿が応募書類から伝わってきました。そこから3作品選んで今回実作を見ることとなったのですがこの横に長いスペースの広さに対して、そこに合う大きさの作品をつくったことは今までなかったであろう中、果敢に努力してきて、三者三様、非常に独特なアイデアをもってアプローチをしてきたのがとても面白かったです。


最優秀賞の白谷さんの作品は横に広がる長さとともに、中央にいくほど厚みが盛り上がっていき、この場所であれだけの3次元的な立体感を出せたのがよかったと思います。

皆さんこれを機会に次からまた作家として頑張って頂ければと思います。

 

服部 信治

主催会社 代表取締役社長

懇談会の様子

表彰式・懇親会の様子

  • 表彰式・懇親会の様子
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