AAC2026
ポスター
田中 せり(アートディレクター / グラフィックデザイナー)
和田 彩花(タレント)
服部 信治(主催会社 代表取締役会長 兼 CEO)
応募総数:402点
最優秀賞:1点
入選:6点

AAC2026
ポスター
最優秀賞
武蔵野美術大学 造形学部
視覚伝達デザイン学科 1年
AACポスターコンペは、大賞作品をブラッシュアップして実施に繋げるというプロセスに大きな意義を感じました。単にユニークな表現を評価するだけでなく、立体作品を制作する学生が応募したくなるかという視点も重視しながら審査を行いました。みなさんの「立体」というテーマの解釈の豊かさに驚かされました。 最優秀賞の大島さんのポスターは、パールがかった不思議な造形に、まず視線が引き寄せられ、「これは何だろう」と思わせる力がありました。後にそれが拳で握った痕跡であると気づき、強い身体性とコンセプトが立ち上がってきます。デザインにおいて明快さは重要ですが、同時に最初の「?」によって鑑賞者の視線を捉えることもまた大切です。何かを掴み取ろうとする挑戦的なアクションが、力強いけれど軽やかに、美しく可視化されています。立体作品のコンペであることが直感的に伝わると同時に、まだどんな形にもなり得る可能性の塊のような感覚が、このポスターから立ち上がってきました。
(田中 せり)
これまでたくさんの美術を見てきた流れで、ポスターコンペの審査に携わらせていただきました。普段、私が主に見ている美術とデザインは少し異なる分野ではありますが、素敵な作品を発見するという行為は同じだったように思います。ただ、ポスターの役割の一つである、不特定多数の人の目に触れ情報を伝えるという点はあまり馴染みがなかったので、少し意識しながら審査しました。「これも選びたかったな」と思わされるポスターばかりで、学生さんの創造力に刺激をたくさんもらいました。今回、残念ながら入選が叶わなかった方々も、素晴らしいものばかりでしたので、何度でも挑戦してみてください。いつか、どこかでみなさんとまたご一緒できる日を楽しみにしています。 そして、このようなコンペを通して、作家として活躍される芸術家の道を支援してくださるAACさんの考えに賛同したい旨をぜひ書かせてください。素晴らしい機会に参加させていただきありがとうございました。
(和田 彩花)
ポスターコンペの審査後、田中せり氏と最優秀賞受賞者の大島愛未さんが打ち合わせを行い、メインビジュアルとなる粘土造形について物理的な検証を実施するとともに、デジタル化に際しての再現精度を高めました。 さらに、もう一つの重要な要素であるフォントの選定や配置にも細心の注意を払い、メインビジュアルとの調和を図りながらブラッシュアップを重ねて完成したのが、下記右側の作品です。 最終的な印刷工程では、CMYKの4色に加え、シルバーの特色印刷およびニス加工を施し、物体と背景にコントラストを持たせることで、平面でありながら奥行きを感じさせる、AACの特性を体現したポスターに仕上げました。

日本工学院八王子専門学校 デザイン科
イラストレーション専攻 2年
ピントの合ったアルファベットと、その手前と奥にぼやけた文字を配置するという最小限の構成によって、擬似的な奥行きを生み出したポスターです。「立体」を三次元の物体そのものではなく「奥行き」として捉え、視覚の錯覚を効果的に活用したユニークな作品でした。モノクロで勝負している点も潔く、強く印象に残ります。完成度が高い一方で、コンペという場においては、もう少し作者の個性やわずかな違和感が加わることで、さらに記憶に残る作品になる可能性を感じました。
(田中せり)

愛知淑徳大学 人間情報学部
人間情報学科 感性工学専攻 3年
背景の水色の画面に大きく卵が配置されたポスター。シンプルな構成のなかで、色彩のグラデーションと文字組みで立体感が表現されています。また、卵の殻が割れ、そのなかにQRコードが見えてくるのが可愛らしく、また学生の創造力がここからまさに生み出されていくそんな未来を感じさせてくれるデザインでした。
(和田 彩花)

東北芸術工科大学 デザイン工学部
プロダクトデザイン学科 4年
デザインで立体を示す作品が多いなか、絵の具で描いた曲線で立体感を示すという視点に惹かれました。絵の具で描いたからこその躍動感、生命感は、学生さんの力強い創造力を表すかのよう。デザインと立体作品の交わり部分を、この曲線がつなげてくれると思います。
(和田 彩花)

武蔵野美術大学 造形学部
視覚伝達デザイン学科 3年
都市の中で光と影の現象をリサーチする試みは、他にないアプローチとして目を引きました。PCがあれば作品を制作できる時代に、実際に外へ足を運び、自然現象と対峙しながら制作に向き合う姿勢に好感を持ちました。背景の変化、張り紙そのものの変化、さらにモチーフの状態の変化という三つのレイヤーが、それぞれに面白く作用していることが伝わってきます。一方で、どれか一つの変数に焦点を絞ることで、より強度のあるポスターになる可能性を感じました。
(田中せり)

岡山県立大学 デザイン学部
ビジュアルデザイン学科 1年
点が線となり、面となり、立体へと展開していくプロセスをモチーフとした作品です。立体という概念を構造的に紐解き、段階的に可視化している点は非常に明快で、テーマへの誠実なアプローチが感じられました。一方で、その明快さゆえにやや説明的で、教科書的な印象を受ける部分もあり、作者としてこのプロセスの中にどのような解釈や意図を込めるのかが加わることで、より強いメッセージを持つポスターになる可能性があると思いました。
(田中せり)

筑波大学
芸術専門学群 1年
画面いっぱいに配置された横線が、ゆったりと弛み立体的なAA Cの文字を作っていく。シンプルな直線が形を変えて、立体的に目の前に現れてくる光景は、シンプルな素材から立体作品が生み出されていくかのよう。ポスターデザインと立体作品の交わる点を見られる作品でした。
(和田 彩花)
受賞者コメント
この度は栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。今の時代だからこそ、実際に人の手でものづくりをすることの魅力を伝えたいと考え、制作しました。ブラッシュアップでは文字の扱い方についてアドバイスをいただき、文字もデザインの一部として捉え、レイアウトや詰め方を工夫することで作品全体の印象が大きく変わることを実感しました。また、強調したい要素を引き立てるために情報を整理することや、細部にまで気を配ることの大切さを学びました。今回の経験を活かし、これからもより良い作品づくりに挑戦していきたいと思います。